有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、2000年代初めごろまで、さまざまな工業で利用されていました。
(例)PFOS:メッキ処理剤、泡消火薬剤など、PFOA:撥水材、界面活性剤など
2009年以降、環境中での残留性・健康影響の懸念から国際的に規制され、日本でも製造・輸入等禁止になりました。
分解されにくい性質を持っており、今も環境中に残っています。
2020年に、環境省は、飲み水からの摂取を防ぐため、水道水等に含まれるPFOS・PFOAの暫定目標値を設定しました。
目標値:1リットルあたり50ナノグラム
(補足)ナノグラムとは10億分の1グラムのことで、50ナノグラムとは小学校にあるプール(25m×15m×1.2m)2杯分の水に耳かき1杯(0.05g)を入れた量に相当します。
ここ数年で行われたリスク評価の中から妥当と考えられる耐容一日摂取量(TDI:20ng/kg/day)を用いて、体重50kgの人が1日あたり2Lの水道水を一生涯飲用するという条件において計算すると、PFOSとPFOAの評価値はそれぞれ50ng/Lとなっていますが、環境省では、安全側の観点から、PFOSとPFOAの合計値として50ng/Lを暫定目標値としています。
なお、摂取量全体に占める水道水からの寄与を示す割当率は10%として計算しています。
計算式:20ng/kg/day(TDI)×50kg(体重)/2L/day(1日摂取量)×10%(割当率)=50ng/L(暫定目標値)
暫定目標値は、体重50kgの人が一生涯にわたって毎日2リットル飲用したとしても健康への悪影響が生じないと考えられる水準です。
また、環境省などによると、「現時点の情報は不足しているものの、通常の一般的な国民の食生活(飲水を含む)から食品を通じて摂取される程度のPFOS・PFOAによっては、著しい健康被害が生じる状況にない」と考えられています。
なお、WHO(世界保健機関)は「飲料水水質ガイドライン」の改訂に向け、飲料水中のPFOS・PFOAの暫定ガイドライン値をそれぞれ100ng/L、これらを含むPFAS全体(全ての有機フッ素化合物)の合計の暫定ガイドライン値を500ng/Lとする方針を示しています。
(参考)PFASハンドブック(新しいウィンドウが開きます)(環境省水・大気環境局環境管理課)
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