令和2年11月に改正された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、令和3年3月に「渋川市地域公共交通計画」を策定しました。
その後、コロナ禍や、2024年4月1日から運転手の時間外労働時間(残業時間)の上限が規制されることによって生じる「2024年問題」など、本市の公共交通を取り巻く状況が大きく変化したことから、令和6年3月に計画を一部変更し、【アフターコロナ編】として整理しました。
渋川市地域公共交通計画【アフターコロナ編】(pdf 17.11 MB)
自家用車の普及や人口減少の影響により、公共交通の利用者は年々減少しており、今のままのサービスを維持することは難しくなってきています。
令和5年5月8日に新型コロナウィルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことに伴い、行動・移動に係る制限や自粛が解除されたことから、公共交通を利用する市民や観光客の数は徐々に増加傾向に転じつつありますが、世界的な半導体不足や原油需要のひっ迫に伴う燃料費の高騰・人件費の上昇は、依然として各交通事業者の経営を圧迫する要因となっています。
一方、高齢者が加害者や被害者になる交通事故や、運転免許証の自主返納件数は増加傾向にあり、受け皿としての移動手段の確保は本市の喫緊の課題となっています。
この計画の策定にあたっては、(1)市民を対象としたアンケート調査や住民説明会、市民意見公募、(2)バスや鉄道利用者へのアンケート調査、(3)交通事業者へのヒアリング調査を行いました。
また、交通事業者や住民団体・経済団体の代表者、学識経験者等によって構成される「渋川市地域公共交通再生協議会」を組織し、策定の主体としました。
策定の中で改めて浮き彫りになったのは、自家用車に依存したライフスタイルの定着や、近年の人口減少や少子高齢化の進行などによる、公共交通の利用者数の減少傾向です。市民を対象にしたアンケート調査の中では、路線バスをまったく利用しない人の割合が約8割となった他、過去1年以内に鉄道を利用しない人が約4割、タクシーを利用しない人が約7割という状況も判明しました。
この他にも、「運転手不足の解消」、「情報発信の充実」、「交通とまちづくりの一体性の確保」等の課題を把握しました。
本市に効率的で、持続可能な公共交通網を確立するとともに、公共交通が暮らしに身近で愛着のあるものとなるよう、本計画において、定量的な目標と併せて、本市の公共交通の将来像を定めました。
人をつなぎ、地域を結び、暮らしを支える~みんなで育む渋川の公共交通~
この将来像では、次のような取組を掲げて、住民と来訪者、双方の移動手段を確保することを目指しています。
上記の将来像を実現するため、次の3つの方針に基づいて、施策を行います。
幹線維持や地域内交通・市内循環線の導入の他、路線バスと通学バスの連携、予約型バス(デマンドバス)の試行運行に取り組みます。
バス停留所の待合環境の整備、公共交通のバリアフリー化、交通系ICカードの導入等に取り組みます。
バスマップ等の情報発信の充実、高齢者の免許返納率の向上、バス・鉄道・タクシーの利用促進イベントやキャンペーン企画の実施に取り組みます。
(補足)上記3つの基本方針に加え、令和6年3月からは、以下2点の方針を追加します
国の「地域公共交通確保維持事業」を活用し、「JR上越線」「JR吾妻線」「乗合バス渋川駅~渋川医療センター線」「乗合バス小野上・子持地区予約型バス」の運行の確保・維持を図ります。
運転手をはじめとした人手不足の解消のため、複数の公共交通やその他の移動サービスを組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行える「MaaS」(Mobility as a Serviceの略)や太陽光発電などのクリーンエネルギー活用を目指す「GX」(Green Transformationの略)、AIなどのデジタル技術を活用して業務改善を行う「DX」(Digital Transformationの略)、自動運転技術などの研究・実証実験を進めていきます。
この計画は渋川市全域を対象とし、令和3年度~令和7年度の5か年を計画期間とします。
今後は、達成状況を毎年度評価し、施策の改善に活用することで、効率的に事業を進めていきます。また、利用者や交通事業者に意見を伺いながら、スピード感をもって取組を進め、本市にふさわしい新たな公共交通体系を構築し、誰もが生き生きとした人生を送ることができる共生社会を実現していきます。
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