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これまでの歩みと新たな出会いが
交差して実を結んだ夢のキャンプ場。

高橋さん
一級建築士として東京近郊を拠点に人々が交流する場づくりの経験を積んできた高橋豊さん。
自身の人生の集大成として、渋川市子持地区に場所を定め、妻の典子さんとともにオートキャンプ場を新設しました。夫妻が体験した渋川市での人との出会い、夢の実現までの経緯について伺いました。

榛名山の美しい山容を望むオートキャンプ場

オートキャンプ場「ベースキャンプはる」は、2021年の8月にオープンしました。全部で9サイトという非常に小規模なキャンプ場ですが、サイトごとに車が横付けでき、それぞれに水道と電気も引いてあるので、小さなお子さんから高齢の方まで気軽に使っていただける施設になっています。

このキャンプ場のアピールポイントをあげるとしたら、やはりこの眺望に尽きるでしょう。
南向きの斜面地を利用して、どのサイトからでも上毛三山のひとつ、榛名山の穏やかな山容、日によってかわる美しい表情を堪能できるつくりになっています。

高橋さん

そして、1年を通じて、色とりどりの花がサイトを取り囲むように咲き、敷地内にある畑では季節の野菜の収穫体験ができる──これも、このキャンプ場の自慢です。もともと園芸を趣味にしていた妻が、この地での生活にすっかりはまりましてね。花や野菜づくりを率先して進めてくれて助かっています。

じつは、今でこそ年間を通じて多くの予約をいただいていますが、オープンした月は、1ヶ月で4組の申込みしかありませんでした。

ベースキャンプはるからの眺め

当時はキャンプ場内の整備もまだ進んでいませんでしたので、とりあえずサイト内に芝を張って整えようと、クラウドファンディングで資金を集めることを思い立ちました。その告知のために上毛新聞に情報を送ったところ、紙面で取り上げてもらえることになり、その記事がテレビ朝日の番組「人生の楽園」のディレクターの目に留まって、なんと番組で私たちのキャンプ場がオープンするまでの様子を取材をしていただけることになったのです。放送の翌日には120組もの申し込みをいただき、以来、全国各地のお客さまに利用していただけるようになりました。
 

建築士としてさまざまな経験を積む中で膨らんだ夢

私は、秋田県の出身ですが、長く東京近郊に住み建築士としてさまざまな職場で仕事をしてきました。もっとも長く勤めたのは芝浦工業大学で、日本における観光学の第一人者ともいうべき存在だった建築家・石川洋美氏のもとで働き、16年間、建築と観光地づくりに携わりました。石川先生のもとで観光地や温泉などの施設づくりに関わってきましたので、人が集まる場づくりについての知識や理解は持ち合わせているつもりです。オートキャンプ場が日本に入ってきてまもないころ、計画に携わったこともありました。

その後、独立して個人事務所を立ち上げましたが、バブルがはじけて事務所の運営が難しくなり、それ以降、けっこうな浮き沈みを経験することとなりました。交通系の大手建設コンサルタント会社や大手建築会社の飛び込み営業、つまり地主さんにマンション建設の勧誘をする仕事に就きましたが、いずれもうまくいかずに1年で離職。その後リフォーム会社に勤め、ここではまあまあ順調にやっていましたが、再び交通系の建設会社から誘いをいただき、以前味わった敗北感を払拭するためにもう一度組織で働いてみたり。

こんなふうに慌ただしい仕事人生を送ってきたせいか、いつしかその仕上げとしての「終の住処」について、真剣に考えるようになっていきました。

野菜収穫畑

場所については、以前から群馬県と決めていました。群馬は妻の故郷でして、この先もし妻が一人になった後も困らないように、妻の知人が多い土地を選ぼうと決めていました。

ただ、終の住処といっても、当初から私の頭の中では、ひっそりと2人で暮らすといったイメージではありませんでした。もともとイベントを企画したりみんなでワイワイやったりするのが大好きな性分なので、これまでに得た建築や場づくりの知識を生かして、多くの人に集まってもらって皆で交流できるような場を作りたいと思っていました。

ですから、本当はゲストハウスとかペンションなどができればよかったのですけれど、それだと妻への負担があまりに大きいと、妻本人や子供たちに猛反対されまして。それで、建物を建てる必要のない「オートキャンプ場」の計画にたどりついたのです。

ベースキャンプはるからの眺め
 

渋川市で出会った人たちに導かれて

オートキャンプ場では、場所選びが肝要です。いくつのかの候補地から、高速道路を降りてから30分以内かつ南斜面で冬は暖かく、景色の良い子持地区に的を絞ってふさわしい土地を探しはじめましたが、土地の所有者を調べて直接手紙を書いたりしても何軒も断られ続けましてね。最初のうちは本当に苦労しました。

最終的に、今の「ベースキャンプはる」の形に導いてくれたのは、ほかでもない、渋川市に暮らすさまざまな人たちとの出会いです。

天空ブランコ

ある朝、早い時間にこのあたりの土地を見てまわっていたとき、散歩をしている方に出会って声をかけたら、その方自身も移住者で、「世話になった不動産屋さんがあるから」と教えてくれたんです。早速その不動産屋さんを訪ね、土地をいくつか紹介してもらい、視察した2番目の土地が、今「ベースキャンプはる」があるこの土地でした。

焚き火台

ただ、ここは農業振興地域内にあるため、基本的には農家以外には買えない土地だったんですね。どうしようかと思い市役所に相談に行ったところ、「前例があるわけではないけれど、おそらく農振法の除外手続きの申請をすれば購入可能だと思いますよ」と知恵を授けてくださった。「渋川市にぜひ来てください」という想いが伝わる担当者の対応に背中を押され、早速農振除外申請と農地転用のエリア計画を作成して提出したところ、無事に認可されて土地を購入することができました。
 

地域の皆さんとともにつくる、新たな交流の場

キャンプ場がオープンしてから1年ほどですが、振り返ってみると、渋川市というまちの、人を受け入れる度量というか、懐の深さをあらためて感じます。

実際、この土地に出会って以降は、いろいろな出会いが驚くほどつながっていって、まるで夢物語のようにものすごいスピードでいろいろなことが実現できているんです。

高橋さん

ここにきて関わった方は、みんな大切な仲間です。すぐ近くのレストランのママ、土地を紹介してくれた不動産屋さん、隣の畑の持ち主さん。渋川市の地域おこし協力隊や移住サポーターの方々。そういった人たちの力を得て、私たちの夫婦の夢がここ渋川市で実現しました。本当に地域の皆様には感謝しています!だから、これから私たちは、この場所で皆さんのためになることを、皆さんと一緒にやっていきたいと考えています。
人生100年の時代になりましたから、10代のころに一度学校で得た知識だけでは生きていけません。学び直しが必要です。この素晴らしい渋川市の景観を生かしながら、ここで暮らす人たちの経験や能力を生かせる「大人のための学びの場」──そんな活動ができる場所を、「ベースキャンプはる」を起点にして育てていけたらいいなと思います。

野菜収穫畑

お陰さまで事業の見通しも立ってきたので、来年は、いよいよこの土地に自分たちの家をつくる予定です。それは、文字通り私たち夫婦の終の住処となるところ。と同時に、ここに集まってくださる皆さんと一緒に、夢をひとつひとつ実現して、新しい未来を始める場所にもなればと願っています。

高橋さんご夫妻
writer:笠井峰子、取材:2022年5月

Profile

高橋豊さん・典子さんご夫妻

ご主人の豊さんは秋田県出身、奥さまの典子さんは群馬県出身。東京近郊での生活のあと、終の住処として渋川市を選び、オートキャンプ場を開設。渋川市に暮らす人々を中心に全国にネットワークを広げ、人々が笑顔で交流する魅力ある場づくりに夫妻で情熱を傾けています。

高橋さんご夫妻

掲載日 令和4年9月5日 更新日 令和6年1月18日
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