このページの本文へ移動
トップ移住・定住渋川あたらしい暮らし記> 素晴らしき人々との出会いと美しい風景を心の糧に。渋川市初の有機農家としての道を笑顔で切り開く。

素晴らしき人々との出会いと美しい風景を心の糧に
渋川市初の有機農家としての道を笑顔で切り開く

粕谷端吾さんと粕谷めぐみさん
神奈川県出身の農業経験を持たないご夫妻が、まとまった農地を獲得しやすいという理由で移住先に群馬県を選び、高崎市での研修後、渋川市に居を構え、市では初めてとなる有機農業への挑戦を始めています。
体力的には厳しくても、心から渋川市での暮らしを楽しんでいるという粕谷ご夫妻に話を聞きました。

珍しい野菜も含めた少量多品種の野菜を、有機栽培でつくる。

粕谷端吾さん(以下、端吾さん):僕たちは、2022年の11月に渋川市に移り住みました。この地で有機栽培農業に就いて、10ヵ月目です。少量多品種栽培を行っていて、トマト、ナス、玉ねぎ、里芋、ショウガといった一般的な野菜から、アレッタ、カリーノケール、カーボロネロ(黒キャベツ)、スイスチャード、スティックカリフラワー、スカーレットダンス(茎ブロッコリー)、お祝いコーン(赤紫色のとうもろこし)といった、一般的なスーパーマーケットには置いていないような珍しい野菜も含めて、なるべく一年を通じて栽培・収穫ができるよう営農計画を立てています。

端吾さん

ただ、まだ就農1年目で、自分たちの畑の土にどういう野菜が合っているかもわからない状況なので、様子を見ながらいろいろと試しているところです。

粕谷めぐみさん(以下、めぐみさん):私たちは渋川市で初めての有機農家ということになるようでして。それもあって、渋川地区農業指導センターや農業委員会の方々にも目をかけていただきいろいろと助言していただいています。
私たちもできる限り、播種、育苗、収穫などのデータを細かく記録して、検証していただけるように努めています。

畑に咲いていた花

端吾さん:僕たちは2人とも神奈川県の出身で、もともとは農業とはまったく関係のない仕事に就いていたんです。僕は、ボイラーを稼働するための化学薬品を製造する会社に勤務していました。
あるとき、会社の閑散期に他の事業も行おうということになりまして、農業に白羽の矢が立ち、僕が民間の農業学校へと通うことになったんですね。そこで農業の面白さに魅せられまして、農業学校から紹介された研修先の有機農家へ週末ごとに行って農作業を行うという生活を3年くらい続けました。そのうちどんどん就農への想いが強くなっていき、独立を目指して農地についての情報なども集めていったんです。

めぐみさん:私は、卸売業、いわゆる商社に勤めていました。小規模な会社でしたので仕事もいろいろ担当することができてそれなりにおもしろかったんですが、40歳間近になったとき、これからどうするのかなってふと思って。このままだと、60代で退職してそのあと何もしないまま人生を終えてしまうことになるかもしれないって。そうなるのは絶対に嫌だなと思ったんです。

自分のペースで生涯現役でできる仕事をしたいと考えたとき、一次産業がいいなと思いまして。学生のときに管理栄養士の勉強をしていて食への興味は持っていましたし、災害時における食の大切さも痛感していましたから。

渋川市周辺からの眺望

しかも、農業には少量多品種栽培という形態もあると知り、それはとてもおもしろそうだなと。2年くらい前からいろいろと勉強するようになりました。夫とは、通っていた研修先の有機農家で出会いまして、意気投合して一緒に農業を始めようということになりました。

端吾さん:2人で就農する決心をして、場所を決めるにあたっては、農地をある程度の規模で借りられるという条件で探していたので、必然的に神奈川以外の場所も候補になりました。
なので、群馬県は最初から候補にあがっていたのですが、実際に来てみるともう想像していたよりはるかに環境が素晴らしくて。

僕は、ちょうどいまこの家の庭から見える、少し高いところから街を見下ろすような眺望が大好きなのですが、まさにその景色が渋川市にはあったんです。しかも、農業ということで考えると、高低差があることで畑によって栽培条件が変わることが、少量多品種栽培をするときにとてもメリットになるんです。

端吾さんとめぐみさん
 

移住のストレスがない幸せ。渋川市での人々との出会いに感謝。

めぐみさん:群馬に来て、最初は高崎市にアパートを借りて住んだんです。群馬での研修先として倉渕町にある「くらぶち草の会」という、有機農業、無農薬・無化学肥料栽培を推進している組織にお世話になり、しばらくはそのアパートから通っていました。
「くらぶち草の会」は、新規就農者を手厚く支援していて、独立後の販路も確保してくれるというとてもしっかりした組織で、今でもすごくお世話になっているのですが、私たちは目標として、自分たちで作った野菜のセットを自身のホームページで販売していくことを掲げていたので、研修後には販路も独自で開拓することを決め、家と農地を探し始めました。

端吾さん:渋川市には種苗会社もあって、それまでにもよく足を運んでいたんです。で、地元の不動産屋さんを介してこの家に出会いまして。古民家ですが、前の持ち主の方が綺麗にリフォームされていて、しかも、先ほど言ったような僕の理想とする景色が眼前に広がっていて。価格も手の届く範囲だったので、もう2人とも一目惚れ状態でした。

芽吹く玉ねぎの芽

めぐみさん:しかも、その不動産屋さんが本当に親身になってくださるいい方で。その方の熱意に惚れ込んで決めたといってもいいほどなんです。
渋川市に住む人たちの特徴なのでしょうか、他所から来る人のことをとても大切に想ってくれるという印象があります。この地域で暮らしていくためのちょっとした心得などもさりげなく教えてくれて。苗字がみんな同じだから、下の名前を覚えておくといいよ、とか(笑)。もう本当にありがたかったですね。

端吾さん:この家に巡り合って、住むことを決めたら、農業指導センターや農業委員会の方にも「非農家の移住者だけれど、この夫婦は本気なのだな」と僕らの想いを汲んでいただけるようになって。耕作地についても希望する規模で借りることができました。

ビニールハウス内の野菜の苗

今は、毎日とても忙しいですけれど、本当に楽しいです。よく空を見上げるようになって、天気の状態を見ながら、今日やっておくことと明日やるべきことを見定めて。作付けがちゃんとできているかを心配しつつ、これを無事に収穫した際にはどういう売り方をしようかとワクワクしながら考えて。

もちろん、もう20代ではないので、体は悲鳴を上げています(笑)。でも、そのお陰で毎日よく眠れますし、近くに安くて良い泉質の温泉もありますしね。毎日が充実感に満ちています。自分たちが本当にやりたいことをしているからだと思いますね。

お祝いコーンの皮をむくめぐみさん

めぐみさん:ありがたいことに、この地域での暮らしが私たちにはとてもしっくりきているんです。新しい土地に移住すると、多少なりとも近所づきあいの心配みたいなことがあると思うのですが、私たちの場合はそういうストレスが本当になくて、畑や作物の心配をしているだけでいい。それが本当にありがたいですね。

すぐ下に住んでいるご夫婦はもう群馬のお父さんお母さんみたいな存在で(笑)。そういう人たちに巡り合えて幸せだなと感じます。

一緒に暮らす猫
 

渋川市で新規就農する人たちに伝えるノウハウを確立したい

端吾さん:これからは、ひとつずつ自分たちのやりたいことを実現していきたいと思いますし、なんといっても渋川市で初の有機農家となるので、きちんとした前例になるということは2人で意識しています。

めぐみさん:質のよい野菜をつくることはもちろんのこと、有機農家は雑草との闘いがひとつの大きな仕事になりますから、防草シートなども上手に活用しながら、少しでも畑を綺麗に保っていくように努めています。

端吾さん:渋川市での有機農業をできるだけ効率的にラクに行えるようなノウハウを確立していきたいですね。それを、ぜひ新しく就農する人たちに伝えていきたい。それが僕らの最終目標かもしれません。
そうすることが、この地で僕らが就農することを可能にしてくれた方々への最大の恩返しにもなると思っているんです。それを目標に、明日からもまた2人で力を合わせて、この地で手に入れた自分たちの畑と精いっぱい向き合っていこうと思います。

端吾さんとめぐみさん
writer:笠井峰子、取材:2023年9月

Profile

粕谷 端吾さん・めぐみさん夫妻

端吾さんは神奈川県横浜市出身、めぐみさんは神奈川県相模原市の出身。それぞれに会社勤めをする中で農業への興味を抱き、研修先として選んだ神奈川県の有機農家で出会って意気投合。40代前半での新規就農を決め、群馬県へと移住。
高崎市倉渕町にある「くらぶち草の会」での研修を経て、2022年11月渋川市に移住し就農を果たす。

端吾さんとめぐみさん

掲載日 令和5年12月15日 更新日 令和6年1月18日
アクセス数
このページについてのお問い合わせ先
お問い合わせ先:
市民環境部 市民協働推進課 移住定住支援係
住所:
〒377-8501 群馬県渋川市石原80番地
電話:
0279-22-2401
FAX:
0279-24-6541
(メールフォームが開きます)