「渋川市地域公共交通計画」について
令和2年11月に改正されました「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、令和3年3月に「渋川市地域公共交通計画」を策定しました。
策定の背景
自家用車の普及や人口減少の影響により、公共交通の利用者は年々減少しており、今のままのサービスを維持することは難しくなってきています。
また、令和のはじめから続く新型コロナウイルス感染症の拡大はこの状況を加速させています。感染の危険と隣合せの中、運転手をはじめとする交通事業者は、交通ネットワークの維持に努めきましたが、結果として感染拡大以後のバスなどの乗降客数は大幅に落ち込むこととなり、交通業界の苦境は続いています。
一方、高齢者が加害者や被害者になる交通事故や、運転免許証の自主返納件数は増加傾向にあり、受け皿としての移動手段の確保は本市の喫緊の課題となっています。
策定の経過
この計画の策定にあたっては、(1)市民を対象としたアンケート調査や住民説明会、市民意見公募、(2)バスや鉄道利用者へのアンケート調査、(3)交通事業者へのヒアリング調査を行いました。
また、交通事業者や住民団体・経済団体の代表者、学識経験者等によって構成される「渋川市地域公共交通再生協議会」を組織し、策定の主体としました。
公共交通の現状と課題
策定の中で改めて浮き彫りになったのは、自家用車に依存したライフスタイルの定着や、近年の人口減少や少子高齢化の進行などによる、公共交通の利用者数の減少傾向です。市民を対象にしたアンケート調査の中では、路線バスをまったく利用しない人の割合が約8割となった他、過去1年以内に鉄道を利用しない人が約4割、タクシーを利用しない人が約7割という状況も判明しました。
この他にも、「運転手不足の解消」、「情報発信の充実」、「交通とまちづくりの一体性の確保」等の課題を把握しました。
課題の解決に向けて
本市に効率的で、持続可能な公共交通網を確立するとともに、公共交通が暮らしに身近で愛着のあるものとなるよう、本計画において、定量的な目標と併せて、本市の公共交通の将来像を定めました。
本市の公共交通の将来像
人をつなぎ、地域を結び、暮らしを支える~みんなで育む渋川の公共交通~
この将来像では、次のような取組を掲げて、住民と来訪者、双方の移動手段を確保することを目指しています。
- 市内の主要な拠点を結ぶバス路線や鉄道路線のサービスレベルを維持する
- 令和3年度に開業100周年を迎えたJR渋川駅やJR八木原駅等の鉄道駅や伊香保温泉などの観光拠点を交通の結節点とし、バスと鉄道の連携を強化する
- 既存のバス路線では網羅できない地域の移動手段を確保する
- 行政センターを中心とする生活拠点と主要な病院やスーパーを経由する循環線の導入を検討する
具体的な施策
上記の将来像を実現するため、次の3つの方針に基づいて、施策を行います。
(1)公共交通ネットワークを構築する
幹線維持や地域内交通・市内循環線の導入の他、路線バスと通学バスの連携、予約型バス(デマンドバス)の試行運行に取り組みます。
(2)公共交通の利用環境を充実させる
バス停留所の待合環境の整備、公共交通のバリアフリー化、交通系ICカードの導入等に取り組みます。
(3)公共交通の利用促進を図る
バスマップ等の情報発信の充実、高齢者の免許返納率の向上、バス・鉄道・タクシーの利用促進イベントやキャンペーン企画の実施に取り組みます。
計画の推進
この計画は渋川市全域を対象とし、令和3年度~令和7年度の5ヵ年を計画期間とします。
今後は、達成状況を毎年度評価し、施策の改善に活用することで、効率的に事業を進めていきます。また、利用者や交通事業者に意見を伺いながら、スピード感をもって取組を進め、本市にふさわしい新たな公共交通体系を構築し、誰もが生き生きとした人生を送ることができる共生社会を実現していきます。