多額の医療費を支払った場合(医療費控除)
多額の医療費を支払った場合、所得税及び市・県民税において医療費控除を受けることができます。
医療費控除を受けるには
例年2月から3月に行われる市・県民税申告及び所得税・復興特別所得税確定申告にて申告をすることで控除を受けられます。
申告の日程については市県民税の申告と所得税等の確定申告をご覧ください。
なお、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
医療費控除の申告に必要なもの
市・県民税申告及び所得税等の確定申告で必要なもののほか、「医療費控除の明細書」(またはセルフメディケーション税制の明細書)が必要になります。
医療費控除の明細書は、医療費控除の対象となる医療費等の領収書やレシートなど、支払いを証明するものを保管し、それらの1年分を集計して作成します。
支払いに対する生命保険や社会保険などの補てんがあったときは、それも集計します。
なお、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」がある場合は、それを明細書に添付することで記載に代えることができます。
様式ダウンロード
セルフメディケーション税制の明細書(PDF形式 60キロバイト)
医療費控除の対象となる医療費
次のうち、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない医療費
- 医師、歯科医師による診療代、治療代
- 治療、療養のための医薬品の購入費
→健康の保持増進及び疾病の予防への取組に係る医薬品等の購入費について(セルフメディケーション税制による特例) - 病院や診療所などに通院するための電車やバスの運賃など(タクシーはやむを得ない場合のみ)
- 治療のためのあん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術費
- 保健師や看護師、准看護師、また特に依頼した人に支払った療養(在宅療養を含む)上の世話の費用
- 助産師による出産の介助料
- 介護保険制度によるサービスで、一定の施設・居宅サービスの自己負担金
介護保険については、領収書に医療費控除の該当となる金額が記載されています。
次のうち、診療や治療などを受けるために直接必要なもの
- 通院費用、入院時の部屋代や食事代、医療用器具の購入代や賃借料で、通常必要なもの
- 義手、義足、松葉づえ、義歯などの購入の費用
- 6ヵ月以上寝たきり状態の人で、医師がおむつの使用が必要であると認めた人のおむつ代
医師が発行した「おむつ使用証明書」と支出したおむつ代の領収書が必要です。また、おむつ代についての医療費控除を受けて2年目以降の人で、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長などが交付するおむつ使用の確認書などを「おむつ使用証明書」に代用することができます。
保険金などで補てんされる金額
社会保険や国民健康保険などから支給される高額医療費・出産育児一時金など
医療費の補てんを目的として支払われる損害賠償金や生命保険契約などの医療保険金・入院費給付金などのことをいいます。
- 保険金などで補填される金額がその給付の目的となった医療費の支払額を超えた場合は、他の病気等の医療費からは差し引きません。
- 保険金などで補填される金額が確定申告書を提出するまでに確定しない場合は、見込額を支払った医療費から差し引きします。なお、見込額が受取額と異なった場合は、修正申告等を行ってください。
次のようなものは、医療費には該当しません
- 人間ドックや健康診断の費用(検診の結果重大な疾病が発見された場合を除く)
- 予防接種(インフルエンザや肺炎球菌等)
- 医師などに対する謝礼
- 美容整形の費用
- 健康食品の購入費
- 親族に支払う療養上の世話の費用
- 治療を受けるために直接必要としない近視、遠視のためのメガネや補聴器などの購入費
- 通院のための自家用車のガソリン代、出産のために実家に帰る交通費
- 介護保険の施設サービスにおける日常生活費や特別なサービスの費用
医療費控除の計算方法
(その年中に支払った医療費)ー(保険金などで補てんされる金額)ー(10万円または所得金額の5パーセントのいずれか少ない額)=医療費控除額(最高200万円)
セルフメディケーション税制による特例
自己及び自己と生計を一にする配偶者その他親族に係る1年分の特定一般用医療品等購入費(補足)の合計額が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(88,000円が上限)を控除額とすることができます。
(補足)特定一般用医療品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から薬局などで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。
この特例による申告をするときは、健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っていることを証するため、次のいずれかの書類を添付または提示する必要があります(取組に係る費用は医療費控除の対象外です)。
- インフルエンザの予防接種または定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)の領収書または予防接種済証
- がん検診の領収書または結果通知表
- 健康診断の結果通知表 など
なお、この特例による控除を受ける場合は、従来の計算による医療費控除は受けられません。いずれか一方のみで申告してください。
次の点にご注意ください
- 申告は1月1日から12月31日の間の収支によって行われます。集計するときは領収日等をご確認ください。
- 医療費は、実際に支払ったものに限って控除の対象となります。未払いの医療費は、医療費控除の対象となりません。
- 申告に使用した医療費の領収書等は、5年間は税務署から領収書の提示または提出を求められる場合があります。ご自宅等で保管してください。
- 市・県民税及び所得税等の医療費控除は、所得控除として税額の軽減となる要素の一つであり、「医療費が戻る」訳ではありません。
-
もともと所得税の源泉徴収がなく、医療費控除がなくとも所得控除が所得を上回っている方が医療費控除を申告しても、所得税の還付はありませんのでご承知置きください。